ーーさァて、島を救いに往っちゃいますかーー
「ーー疲れるんだよなァ」
「マァ、とっとと済ませて大島牛乳飲もうぜ」
台風15号の襲来で、皆で行くはずだったイベント「御神火ライド2019」が中止になった。それでも諦めきれない女が3人、23:00発の船に飛び乗る。
イベントがないなら自分で作る、そして島を救いに(????)行くという厨ニコンセプトのなか、ご近所組は旅立った。
メンバーはゆたそさん、虫さん、クロの3名だ。
◆
さあ、大型船さるびあ丸! 大島行きのお楽しみといえばこれ。
3人「カンパーーーーイ!!!!」
消灯までは約1時間しかなく、軽い飲み会はいつも急ピッチだ。
電子で弱虫ペダルの新刊(63巻)を読み、むせび泣くクロの図。
〜就寝〜
目が覚めたら伊豆大島に着いていた。だいぶ気だるい、朝の5時だ。
御神火ライド残念会と称して、島の担当者の方々、そして島ローディーたちがお出迎えしてくれた。もちろん、御神火ライド残念会主催の大島じてんしゃ協会会長もいる。
なんと、元町港までは寿し光さんの車が連れて行ってくださるという。岡田→元町の8km、起き抜けの体にはキツイのでありがたい。
「まずは最初にあそこですか、ね」
「あーあ、腹減ったなァ」
観光中にも厨ニバトルに余念がない。
さて、ここは寿し光の清水さんのご好意で立ち寄ってくださった絶景スポット。
うーん、お見事。切り立った火山岩を登ると、見事な景色に出会える。
いい場所を教えてもらった。
さて、元町についたら寿し光さんの駐車場で輪行を解く。今回は御神火ライドの残念会なので、荷物も寿し光さんの1Fで預かってくださるという、至れり尽くせりなのだ。
支度を終え、御神火温泉に朝ごはんを食べに向かう。
やっぱり朝はこれ、おかゆセット!!
それだけでは飽き足らず、トーストセットも追加する。
このトーストセット、ゆでたまごが2個つけられるのだが、人からもらったりなんだりで、虫さんは合計3個も食べていた(フラグ)
色々あって虚無状態でトーストを食べ終えたゆたそさん。
一度寿し光で別れたが、雨が降ってきたので御神火温泉に移動してきた会長。
島ローディーのHさん、Kくんをはじめとしたみなさんもご一緒だ。
晴れてきたので、岡田港まで再び戻る。大島じてんしゃ協会のメンバーの方が、少し後のジェットで来るらしい。
ゆたそさん「タンパク質だから平気って言ってなかった?」
路面はウェットだけど気温が高い。
オレンジ色の花が咲いている! コスモスのような見た目だ。
ここで、今回新たに教えてもらった島のパン屋さんに立ち寄る。「しま←じま」
さっそく、ウキウキお邪魔させていただく。こちらのパン屋さん、ありがたいことに朝7:00から開いているのだ。
こじんまりした店内。パンはそれぞれオシャレな雰囲気だ。
焼き立て! ソーセージパン。
こちらのごじんかパンは、チーズとトマトソースが中に入っているのだそう。マグマが表現されているようだ。
パンを買い込み、岡田港まで一気に下る。そしてこの坂、もちろん下るということは上るのだ!
ジェット船で駆けつけてくれた協会員のローディーさんを待つ、しばしのひととき。
大島じてんしゃ協会のメンバー、ここに集合!
会長から残念会のアナウンスが流れ、あとはおのおの島を走って楽しむことに。
さあ、ライドスタート。皆さまは残念会のテーマにのっとり、御神火ライドのコースを走るらしい。お昼ご飯の時間が決まっているので、なかなかタイトそうだ。
おニューの白ジャージで見守ってくれる会長の姿。
さて、爆走の男性陣ご一行とは元町で別れ、我々3人は憧れのアイス屋さん「トリトン」へ……。まったりライド、別に一周しなくても大島は楽しいのだ。
大好きなチョコミント。チョコミントと名がつくが、実はハッカ油とブルーハワイで色づけられたものなのだ。
何もかもお手製のこちらのアイスクリーム、どれを食べても本当に本当においしい。大きいチョコチップが入っているのもまた素晴らしい。
さて、アイスクリームを楽しんだあとは、三原山登山道でのんびりヒルクライムだ。
虫さん「ゆでたまご出る……」
ゆたそさん「だから言ったのに」
まったり、のんびり登山道は11kmほど。走りやすいけどやっぱり長い。
虫さん「古の曲流すわ~~~~!!」
2人「ヒュウ~~~~!!めっちゃ懐かしいやつやん!」
これは「ハレ晴レユカイ」を踊るゆたそさん。自転車であることを感じさせない機敏さだ。
そして踊りながら加速していく。
さざんかの道の合流地点までやってきた。ここからは少し斜度がゆるくなる印象だ。
しかし、標高が上がるほど霧の中へ……というか、雨雲の中へと突っ込んでいく。
霧なのか? めちゃくちゃ湿ってきた。
ゆたそクロ「うぐぐ……めっちゃお腹空いてきた」
虫さん「イエーーーイ!!!ゆでたまご大勝利ィ~~~」
レンズに水滴が付き始めたが、もう間もなくゴール。
今年もお決まりのスポットで一枚。
「あっぶなかったわ…マ、呆気なかったケド」
「オイオイ、余裕ぶっこいてンなァ」
「ーーで、次の敵は何処だ?」
ーーー三原山制覇ッ!!
3人でも登頂記念に1枚。しかし、結構な勢いで雨が降ってきている。
山頂コーラほどおいしいものはない……。が、雨の勢いが強く、コーラの気温ではない。
一瞬ゲリラ豪雨並に降ったので、雨具を着込んで下山の準備だ。
路面完全ウェットの御神火スカイラインダウンヒルは、正直結構こわい。
いい景色だけど、この柵の向こうに吹っ飛んだらと思うと恐ろしい。
ああ、下るにつれて雨は上がり、下界はといえば思いっきり晴れているのである。やはりこの雲、頂上だけにかかっているものだったか。
路面はすっかりドライ。
下りきって、お昼ごはん予定の「寿し光」へと向かう。荷物を預けついでに、会長が人数分のべっこう丼を用意してくれているのだ。
お店の方が、「これ待っている間よかったら……」と鍋一杯の冷やした緑茶を用意してくれていた。寿し光の順番待ちのお客さんとともに、これをいただく。
一周ライド組が、まだ戻ってきていなかった。
一周ライド組から途中離脱した島ローディーのKくんと、皆の帰りを待つ。
待ちきれなくて先にいただくことにした!
おなじみべっこう丼の、見事なべっこう色。こちらで食事をいただくのは、初回に大島に訪れたとき以来である。港のお弁当とは違う新鮮さだ……めっちゃうまい。
少し遅れて戻ってきた一周ライド組の皆さんが、焼き立ての牛乳煎餅とりすまんじゅうをお土産に買ってきてくれた。ほのかにあたたかくておいしい。
そしてこちらが椿園限定のりすまんじゅう。パッケージのかわいいリスの姿はなく、まんじゅうはリアルリス。
だがこいつ、中身に薄墨色のきれいな餡が入っているのだが、それがあしたば粉、日本酒、椿油でつくっているものらしくて、意外性とともに抜群においしいのだ。普通のあんこかと思わせるところも、よい。
◆
さて、ここで「明日の船は出るのか?」という議論が本格化。迫りくる台風15号、帰りたくない我々……。
会長「今日の夜、竹芝からさるびあ丸が来れば、大島に停泊はできないから、絶対戻ると思う。ただ、繰り上げ出港はあると思う」
3人「帰りたくねえ~~~」
最終便は16:00台、今夜のさるびあ丸の出港決定は17:00。これは賭けだ。
岡田港のさまざまな島関係者の意見を参考に―――bet!!
クロ「明日のチケット買ってきまーーーーす!!!!」
こうして、我々3人は残ることに決めた。
今夜中に帰らなければいけないNさんを、
我々とともに残る決断をしたTさん(即飲酒)とともに見送り、自転車を回収しに再びの岡田港から元町港へ……。
地域猫ちゃんとの心あたたまるひととき。黒い体にしましま模様、珍しい。
会長のお言葉に甘え、輪行した自転車を積み込んでもらい、いざホテルへ。
その前に、この先のことなんか知らね~~ホテル泊だぜ~~!!くらいの気持ちで、浮かれ追いトリトンをキメた。
上がココナッツミルク、下がチョコバナナ。チョコがあまりにふわっふわなので、下にすると潰れてきてしまう。もう本当に、文句なしにウマイ。
さて、ちょこっと贅沢をしてからホテル白岩にイン。畳でゴロ寝のひとときを手に入れた我々は、17:00のさるびあ丸出港確定を確認し、飛び上がって喜んだ。
3人「勝ち組じゃ勝ち組~~~!!」
それから、贅沢な温泉タイム。大島の防災放送で「明日の出港は繰り上げとなり、9時半です」というアナウンスが流れた。
これで朝ごはんも食べられるし、ゆっくり寝られるし、大勝利を収めた……と、温泉堪能した。
の、だが。
?????
クロ「これ、9時半じゃ……」
ホテルの方「4時半になりました」
?????
まじか??????
まあ、しょうがねえ!!それぐらい未曾有の事態なんだろう。泊まれただけでもよしとして、椿油フォンデュを貪る。
おいしい、幸せだ、帰りたくない……。
クロ「せっかく布団敷いてくれたのに~~~」
とは言いつつも、会長からのお誘いもあったのでジンガロで軽く一杯。
なぜかうっかりホテルのスリッパを履いてくるクロ。
とりあえず乾杯~~~!!!
明日のことがなければすばらしい夜だ。
これはジンガロマスターお手製の、チーズが炙れる絶品煮込みハンバーグ。
楽しい夜も更けていき、名残惜しいところで宿へ……。
朝のアラームは3:00だよ……。
おやすみなさい。
そんなわけで、朝も早くから会長本当にありがとうございます。いざ岡田港へ。
「この展開、聞いてねェぞ?」
「これが最後の仕事、ってやつか」
ーーー最終、決戦ーーー
こんな早朝の船にも関わらず、お見送りをしていただいてしまったし、何なら乗客はめちゃくちゃたくさんいた。
今振り返ると、とにかく我々を安全に帰してくれた、この異例の時間の出港に胸が震える。
船に乗り込み、結構揺れるので甲板に毛布を敷いて、夜明けの一杯をキメてから爆睡。
サッポロの夜明けぜよ……。甲板での夜明けはレアでとってもエモいけれど、やはり3時起きは眠い。
そして、
「ーーオツカレ」
「ーーアンタも、な」
と物語も無事に完結したわけで、さるびあ丸驚きの機動の高さで竹芝へと帰還。
何と、近くまで出てきてくれていたとりさんがお出迎えをしてくれた! PBPのドイツジャージ、とってもカッコイイ。
そんなわけで、滞在時間24時間、会長や大島じてんしゃ協会の皆さんのお世話になって、最高に楽しい弾丸旅行は幕を閉じたのだった。
いや、本当に厨二バトル漫画並の激しい展開だった。
◆
そして我々が無事帰還を果たした9/8夜。
被害は甚大で、お世話になったあそこやここや、いろんなものがなぎ倒されていた。
報道がされにくい地域でもあると思うので、こちらのまとめを見てもらえたらうれしい。
今何ができるかは、そのときどきによって変わるだろう。
ボランティアが求められるかもしれないし、義援金かもしれない。観光にきてお金を落としてほしいということもある。
そんな変化に気づけるように、伊豆大島を知って、見守ってもらえたら嬉しい。すぐに動ける身体でなくて、あるいは多額の寄付で助けられる人間でなくて申し訳ない。
大好きな島なので、皆でまた行って、たっぷりお金がつかえますように!!
今日もお疲れ様でした!(また、伊豆大島で会いましょう)