山の日といえば、やはり名勝負のあの地へ行きたい……。
上半期にはアニメでも放映され、秋には舞台でも取り上げられる、弱虫ペダル2年目インターハイの名シーン。
いつまでもいつまでも、私の心を捕えて離さない、「日光いろは坂・真波VS手嶋」である。
今年も山の日は聖地で過ごしたい!
そんな強い思いを胸に、悪天候とわかっていながら、いろは坂でのライドに出発した。
◆
三時間ほどの電車の旅を経て、集まったメンバーは虫さん、真嬉さん、しいさん。
当初はもう少し多かったのだが、悪天候や、各々の体調のため、半分ほどの人数に。
雨雲レーダーによれば、東武日光に到着する9時半には止んでいるということだったが……ついて見れば、霧雨が降ったりやんだり。
宇都宮へ向かう下り基調の餃子ライドへの変更も考えたが、幸いにも気温が高く距離が短いので、山を走ることも問題ないだろうという判断になった。
しいさんのキュートなNEWシューズが光る!(しかし濡れる)
各々準備を整えてきたので、きっちり雨対策をし、まずは補給タイム。
東武日光駅前にある、「さかえや」さんで揚げゆばまんじゅう。
湯葉と豆乳が練り込まれたらしい生地に、天ぷらのような衣。
中はあつあつのこしあんで、衣には塩気がしっかりと感じられる粗塩がまぶしてあった。
虫さん「おいしい!塩気がたまらん!」
甘さとあたたかさ、程よい塩気に皆ご満悦。これから山を登るのだからと、2個ほどぺろりといただいて、霧雨のなかを走り出した。
・いざ!いろは坂頂上へ向けて
日光東照宮は、風鈴まつりのため観光客でにぎわっている。
しっとりと霧に包まれた景色のなかを、好き勝手しゃべりながら登っていく。
かつて、初めて宇都宮発でこの道を走ったときに補給スポットとして命を救ってくれたスーパーの周りだけ、雨が止んでいた。何かに守られているのかもしれない。
途中、もも売りの看板を見かけ心惹かれるも……さすがにこの個数は食べきれないため断念。
暑くないだけで随分と登りやすい。あっという間に到着した馬返しの公衆トイレで、手洗いのため小休憩。
いろは坂は、最初のい~に辺りの斜度がややきつめだが、あとはかなり緩やかで、おしやべりをしながらでも登りやすい。
霧で視界が悪いなか、2年目のインターハイに思いを馳せつつ、女たちはのんびりヒルクライム。
車も多少通るものの、走りにくさは感じられない。
虫さん「この霧ラスボス感あるね」
クロ「きっとこの霧の中に、純太が捕らわれてるんだ……」
しいさん「魔王が真波?」
真嬉さん「坂道くんが!!助けにいくんだ!!!」
急ぐ旅でもないので、雲海への期待を込めつつ黒髪平で足を止めるが……残念。霧は頂上まで続いているようだ。
そして、我々の記念撮影スポットである「ね」の看板の前で、今年もたくさん写真を撮った。
こんなところで止まっているのは、弱虫ペダルファンくらいのものだろう。
赤い屋根どころか思い出の景色も見えやしない。頂上に近づくにつれ、さらに色濃くなる霧。
数メートル先も見えない、笑ってしまうような視界のなか前に進み……ついにゴールゲート!
今年も、山の日にいろは坂を登りきった。
ひっそり開いている売店で揚げもちやからあげを頬張り、白ホリさながらの背景で記念撮影。
そろそろ下山するかというとき、バイカーのおじさまたちに「去年もいたよね?もっと大勢で」と声をかけられた。
本当にそれが私たちだったのか定かではないが、何となくうれしいお声掛けに、「また来年、山の日に!」とうきうき返事をして、その場を離れた。
・ウェットなダウンヒル
ここからは装備を整え、リアライトをばっちりつけてダウンヒル。
頂上付近は霧がかっていたが、下るにつれて視界は晴れ、逆に霧雨になっていく。
湿り気は増したが、前が見えないというわけではないのでいいのかもしれない……?
観光バスや家族旅行の車と抜きつ抜かれつして、珍妙なローディーに興味を示す小学生たちとお手振りで交流した。
数年後、「あれはロードバイクだったのか!」と、自転車乗りになってくれる子がいたらいいなあ、なんて思う。
ちなみに、今回のライドは視認性を高めるため、集団の最後尾は反射ベストを着用して走っている。
霧の中でも車に誤って突っ込まれないように、なけなしの工夫というやつである。
そして、無事に東武日光駅まで下ってきて、ロッカーに入れておいた荷物を確保。
最終目的地は、温泉!!!
日光駅前にある、日光ステーションホテル内の「駅スパ」に入りにいくのだ。
これまでも立ち寄ろうとしたことがあったが、最終受付時間が15時のため、遠方から来て登って昼食をとって下ってきて……だとなかなか難しい。
今回は、昼食を後回しにして、無事に間に合わせることができた。
自転車はフロントであずかってもらえるため、駅前で輪行状態にして、目の前のホテルに向かう。
入浴料は700円。バスタオル等借りてもプラス150円という有難いお値段だ。
しかも、ここの駅スパ……なんと露天風呂がある。昼間のため貸切の温泉で、雨に濡れた身体を癒し、まったりと過ごした。
温泉ライドの贅沢は、何物にも代えがたい。
旅の最後は、駅前の食堂で湯葉づくし。湯葉入り五目そばや湯葉丼など、日光を満喫した。
個人的なおみやげは、しいさんおすすめの日光カステラ本舗で「一切れカステラ」
ここから3時間近い長旅だが、それぞれおやつやコーヒーを買い込んで、心行くまでしゃべりながら帰った。
やはり、いろは坂はいい。いつ行っても、心躍らせるものがあるし、やさしい登りごたえだ。
日光という町もとてもいい。
今日もお疲れ様でした(虫さんのハニージンジャージュースはりんご酢でガリの味)