・PC3~PC4
ここからは、来た道をまるっきり戻っていく。
少しずつ暮れていく景色に向かって、淡々と、正直荷物の重さのせいか、早い段階から脚の疲れもあるのでペースはゆったりと。
気持ち程度だが、往路よりも復路の方が起伏は走りやすい……ような気がする。
なんとかアップダウンを乗り越えてきたが、ちょうど日没のころ、PC4手前で大渋滞。
テールランプが延々とつらなり、大型バスを含む車が、登り基調の道でびっちり詰まっていた。
PC手前の永遠にも感じるあと2km……。
降りたり、待ったり、じりじりと進み、やっとの思いでPC4へ。
貯金は10分減くらいか?
ちなみに、PC4は、PC2と同じ伊豆高原のローソン。やはり、びっくりするほど寒い。
100kmぶりに空腹を感じたので、個人的にここでがっつりご飯。納豆巻きと焼き鳥のもも、回復のための赤メダリストとボトルを補給した。
そして、今回の300のなかで一番暗いと思われる夜の富戸~川奈区間へ向け出発!
・PC4~PC5
想像通り、街灯がちっともない川奈へ向かう起伏道。
軽い登りのあと、暗闇に向かって走る私たちのvolt1600×3が映し出したのは……
イノシシ一家の大移動!
ゆったりと、大きめと中くらいのイノシシが6匹ほど、道路を横断していた。
突然の灯りに照らされ、イノシシたちは慌てて草陰へもぐりこむ。
フゴフゴ、というか、ブッブッというか、まさにブタといった鳴き声に、思わず和んでしまうのだった。
そして、川奈のクソ坂を注意深く下りきれば、ようやく街灯や車、街並みともろもろの明かりで一気に走りやすくなる。
もう勝手知ったる道なので、多少作業のように走ってしまう感は否めないが、伊東のマリンタウン(たまに、逆走飲酒運転の高校生バイカーがいるらしく、おそろしい)を過ぎ、小山を越え、熱海の明るさにほっとし、小山を越え、えっちらおっちら、最後のゆる登りを超えて、PC5のセブンイレブンへと辿り着いた。
貯金もほとんど推移なし。
ここで、エスタロンモカを入れ、疲労と眠気に備える。
お腹はすいていないので、ブラックサンダーと飲み物の補給のみだ。
ラストスパート、逗子へむかってほぼ平坦の60kmを残すところとなった。
・PC5~ゴール
虫さんはエスタロンモカが即効き、私も10分ほどで効果が出てきたため、いい具合だったのだが、今回はじぇんさんに眠気がついてまわった。
日頃の多忙さがたたって、日中から眠気に襲われているため、何度か缶コーヒーでドーピング。その結果、ここにきてエスモカが効かないという事態に。
大変な状況だが、そもそも缶コーヒーで起きられるのは毎度感心してしまう。
私の場合、カフェイン大好き人間なので、エスモカが効かなくてはまずいと、常飲しているコーヒーを10日間ほどカフェインレスにしてこのブルベに望んでいた。
残りの慣れた平坦路、ゴールをして起き抜けにコーヒーを飲むことを想像して気持ちを奮い立たせる。
コーヒーコーヒーコーヒー……
荷物を増やして自分たちの首を絞めたが、ゴール後には、絶品朝ごはんのご褒美も待っている。
焼き立て焼き立て焼き立て……
カフェイン効果か疲労感はあまり感じないが、脚そのものに疲れがたまるとやっぱり露骨にペースが落ちてしまう。
じわじわ、じりじり、解放までじらしにじらされる、「江の島まで●km」の標識……。
そして、ようやく江の島をすぎ、うっかり逗子200と同じルートを走りそうになるが、最後の左折は「渚橋」
魚民は朝までいられるのか?一縷の不安を覚えつつ、ついに、ゴール!!
レジェンドМさんたちが、寒空の下、店の前で向かえてくれた。
一端自転車は店の前に置いていき、よたよた、よぼよぼと店内の階段を上がって、神奈川のスタッフさん、車or自走の参加者の方々にご挨拶。
時刻は25時すぎ。
やっぱりくたくたに疲れた。
Tさん「何放心してんのwwwww」
そら、放心したくもなるものだ!
受付をお願いし、スタッフさん方の隣の部屋で、刺身盛りとお茶漬けで乾杯。
続々と帰られる皆さんを見送り、最後の最後までお引き止めしてしまったレジェンドMさん、ブルベの父上様からPBPの魅力についてお話しを聞いてしまった。
疲れてはいるけれど、貴重なお話も聞け、とても素敵な時間だった。
さて、ここからは魚民のクローズ時間である、朝の5時までひと眠り。
私たちには、最後の目的が残されているのであった……。
◆
「ウェ~~~~イ!!!いっせーーーのイチ~~~~!!」
「いっせーーーのサン!!」
「はい、Aちゃんの負けェ!さあ、飲んで飲んで!」
「Aは飲める子だからなァ~~~」
午前4時。
魚民で飲み会をしている若者たちの宴は、なぜかこの時間にピークを迎えた。
じぇんさん、虫さんと揃って、魚民の一室で仮眠をとっていたのだが。
若者たちのウェイなバカ騒ぎの声が、大音量で響き渡る。
男3、女1と思われるちょっとヤバげな宴は、300km明けの身体に、とんでもない騒音として染み入っていった……。
結局、寝るに寝られないまま、魚民のクローズ時間。お会計をして、5時すぎに近くのマックに移動する。逗子駅周辺には、24時間営業の店はないのであった。
そして、マックで身支度をしっかり整え、軽い着替えと化粧を整える。いよいよ夜が明けた。
在りし日のじぇんさん「鎌倉300に出るなら、ブレドールに行こう!」
そう、私たちのご褒美とは……
葉山にある、有名モーニング「焼き立てパン食べ放題」の「ブレドール」へと行くことだった。店舗詳細はこちらで。
土日祝のモーニングは、7時スタート。開店30分前にいっても、一巡目の入店は難しいという人気店。
せっかく早朝の逗子にいるのだから、行かない手はない。
6時すぎに出発し、5km先のブレドールを目指して走り出した。
5kmといえど葉山は葉山……
ゆるいとはいえ起伏が待ち受ける。
足だの腰だの股だのに、ブルベ明けの痛みが走った。が、おいしい焼き立てパンのため、私たちは止まってはいられない。
逗子の朝日だ!
坂道でも元気なじぇんさんを先に放ち、予約表に名前を書きにいってもらうも、一巡目の入店ならず。
90分交代制なので、残念ながら朝ごはんは8時半からということに。
2時間近く待ち時間があるが、お店の入り口の前に設置された、ストーブの前で雑談しつつ待機と決め込む。
7時にオープンしてからというもの、買い物だけのお客さんもひっきりなしに訪れる。
駐車場は食べ放題待ちの人と、買い物の人とであっという間に満車。人気ぶりがうかがえる。
眠くないのを意外に思いつつ、いよいよ入店!
1300円で、90分パン食べ放題+本日のスープorサラダ+ドリンクが楽しめる。
ちなみに、スープかサラダは200円追加すれば、どちらも頼むことができる。
3人とも、1500円でパンとスープ、サラダ、そしてコーヒーを選択。
店員さん「クロワッサンと手ごねバケットはいかがですか?」
こんな感じで、焼きあがるたびに数種類のパンを運んできてくれるので、希望の個数を取り分けてもらう。
どれもうまい!
手が込んでいるけどクセがなく、至ってシンプル。後味も、口に残る嫌な感じがない。
ちなみにアップルパイはオーダー後に焼くので、希望個数を伝えて、10分ほど待つ形式だ。
3人とも、体調が悪くなるまで(?)食べて、大満足!
目的通り鎌倉300を走りきり、ブレドールで焼き立てパンとコーヒーの朝食を果たし、私たちのブルベは幕を閉じた。
◆
ふんわりと、感想!
私たちはともにいても、ひとりひとりが与えられたブルベのその距離を、走るよりほかないんだよなあと、わかってはいるんだが。
でもほんとはもっと気の利いたことができればなあ。できることなんてないんだけど、せめても日々小さなことを大事に、ともに自転車を好きでいられたらなあ。
そういう意味では、本当に、長い長い300kmだった。
今日もお疲れ様でした!(禁断のカフェイン解放)