そして、合宿最終日の朝。
6時半頃、だらだらと起き出し、7時半からの朝食に向けて準備を整える。
ゆたそさん、みそこさん、クロは着替え始めるが、虫さんが起きない。
そこで、そっとカンチェラーラを寄り添わせる。
この数秒後、目覚めた虫さんによってカンチェラーラは布団の波へと飲み込まれていった……。
◆
おおかた準備を整えて、やさしくておいしい朝ごはんを楽しむ。
干物とほかほかごはんなどなど、朝食定番のメニューが私たちを迎えてくれた。
明け方伊豆大島入りをしたらしいちひ子さんは、昨日荷物を預けた御神火温泉で、温泉&仮眠をとっていたらしい。
ばっちり宿泊割引を適応してもらい、いざ出発!
元町港の観光センターまで、軽快なダウンヒル。
ついに、ちひ子さんと合流。
弾丸参加になってはしまうが、また一緒に走ってもらえることがとても嬉しい。
ようやく、メンバーの10人全員が集合だ!!
時間は、9時を少し過ぎた頃。
荷物をふたたび観光センターに預け、走り出す。
ここからは、念願叶っての「御神スカイライン」ヒルクライムだ。
御神火スカイラインとは、3年前の大規模土砂災害で通行止めになっていた、三原山へと向かう道のひとつである。
それが、つい先日、9月10日に開通したとあって、それはもう行きたくて行きたくて仕方がなかった。
すでに二度御神火スカイラインを経験をしているゆたそさんの先導で、スタート地点へ向かう。
元町港から5分かかるかかからないかくらいだろう。
看板が目印となり、ヒルクライムスタート!
6km弱、平均勾配は8.7%とほどほどだ。
距離も長くないため、ヒルクライムは各自解散となる。
mioさん「私来週レースだから、ちょっと先に行くね」
ひゅっと先行したmioさんと、それを追うじぇんさん、いめさん。
うーん、皆かっこいい。
軽快な背中を送り出し、前半のゆるやかな勾配を楽しみながら登っていくことに。追いかけないぞ!という暗示は大切だ。
ブルベのように後先を考えなくていいヒルクライムは久しぶりで、本当に爽快だった。
前半はゆるく、中盤から斜度は10%あたりを推移する。
つづら折りはそれなりに細かいので、ひとつのセクションはさほど長くなく、あまりきつさを感じさせない。
時折景色が開け、走ってきた道が見渡せるのも素晴らしい。
ずっと悪天候だった大島合宿だが、なぜかこのヒルクライムの瞬間だけは晴れた。
2~3ヶ所ほど工事によって片側車線の区間があるが、走るのに苦労するほどではない。
吹き抜ける風速9mの風にもてあそばれ、斜度の割に速度が出ない区間もあったが、気持ちのいい道だった。
前方に先行者たちの背中をとらえてからは、サボらず、淡々と、踏めるところでは踏み、進んでいく。
山頂の駐車上へといたる、開けた最後の500mほどは爆風で、下手をすると反対車線まで押しやられるほどだった。
蛇行しないと進めないほどの向かい風に耐えて耐えての……ゴール!
この伊豆大島で、三原山山頂へと続く道の中で最もきついとされる御神火スカイラインを、ようやく登ることができた。
感動もひとしお……と言いたいところだが、風が強すぎて外での待機はできそうにない。
いめさん、じぇんさん、私はバイクラックのある休憩所で室内待機。
mioさんは、なくなったバーエンドキャップを探しに行く目的で、おかわりをしにいった(強い)
その後、ぞろぞろと皆が山頂へと到着するが……
ひとり、足りない。
クロ「真嬉さんがいない!」
mioさん「えっ?!先に行ったよ?」
虫さん「まさか……下った?!」
どうやら、山頂駐車上入口で、別の登山ルートへと入り込んでしまったらしい。
つまりは、別の登り口へ向かってダウンヒルをしているかもしれない……?
虫さんとmioさんが、真嬉さんを保護しにいくことに。
その後真嬉さんとは無事に電話がつながり、そう遠くない地点にいるということで、迎えに行った2人と無事に山頂へと復帰することができた。
mioさん、図らずもめちゃくちゃおかわりヒルクライムの巻である。
・御神火茶屋でティータイム
全員揃ったところで、偶然にも営業していた「御神火茶屋」でひと休憩。
山頂のお店は営業していたりしていなかったりと不規則なので、今回が初めての来店になる。
あまり時間もないのでコーヒーやカフェオレを急ぎ足に楽しんで、
山頂で一枚!
ダウンヒルは、ゆっくりを心がけても15分もあれば下りきってしまう。
虫さん「あんなに時間かけて登ったのに、下るのは15分くらいだね!」
むっちんさん「…ひどい…!!」
まさに、ヒルクライムの真理である。
・そして、岡田港へ
元町港から岡田港へはゆるい登りも含む、約8km。
せっかくだからと景色を眺めに、サンセットパームラインを通っていく。
向かい風と荷物の重さで修行のようになるが、それでも海沿いの道は美しい。
最後は港へ向かってダウンヒル(大島入りの朝、私たちを殺した坂だ)、出港までに余裕を残しての到着となった!
各々おみやげを買ったり、名物の大島牛乳をつかったスムージーを飲んだり、最後まで島を堪能する。
強風の影響か、大型客船は10分以上遅れての到着になったが、無事に乗船。
二泊三日で走り抜けた伊豆大島と、別れの時を惜しんだ。
さて。
いつもなら、ここからは船のなかで酒盛りをはじめるところなのだが。
おかしい。
船の揺れ方が尋常ではない。
食事をするべく食堂に入ったが、熱気と匂いとひどい揺れに、ほとんどのメンバーが船酔いにダウン。
食事すらもできないほどに……。
4回も大島にきて、船酔いにメンバーが襲われたのは、今回が初めてだった。
私とちひ子さんといめさんだけ、割とピンピンしていたと思う。
結局、寝て休んだり、甲板で潮風に当たったりして、控え目に過ごした。
東京湾に入ると、船の速度も揺れもゆるみ、全員が回復に向かったので一安心。
最後の長旅で船酔いに悩まされたことだけが残念だったが、無事に、皆ケガなく楽しく、竹芝へと帰りつくことができた。
◆
伊豆大島。
距離がほどよく、適度に不便で、自転車で行ったら自転車に乗る以外は何もできないような島。
美しく、人はやさしく、スケールもほどよい素晴らしい場所だ。
ぜひ、皆様お誘いあわせのうえ、泊まりにいってほしい。
今日もお疲れ様でした!(名物・べっこう寿司はまた次回)