さて、ロードバイク歴もうすぐ7年の春。
人生何があるかわからないものだ。
各所でポロポロと書いてはいたのだが、はじめての交通事故を経験したのでブログに残しておこうと思う。
長い。
◆
①事故当日・3月某日の午前中
週末のライド予定に備え、皆で立ち寄れるのではないかとめぼしい場所へ一人自転車を走らせた。久しぶりにロードで外に出たくなるような春の日。
カフェに立ち寄り、すぐに帰路へ。あくまで下見だった。
場所は、慣れにも慣れた境川CRの「坂本橋」の十字路。
町田市小山方面へ走行中の私と、多摩境駅を目指す車の衝突であった。
左クリートを外して減速し、足でかくように進んで一時停止線をすぎたところで、右側から直進してきた車にはねられたのだった。
あっ、となったときは運転手と目があったように思う。
ボンネットに軽く乗り、そのまま橋の真ん中あたりまで飛ぶ?転がる?
シャリポケットに突っ込んでいたアイスコーヒーのカップがえらく吹っ飛んでいた。
幸いにも運転手の方がすぐ反応してくださり、警察を呼んでしばし待つことに。とりあえず立てるので救急車の必要はないと判断だった。相手との連絡先の交換、家族への一報もこのあたりで済ませた。
身体は痛いに違いないのだが、なぜだかこういうときって「大丈夫です」とか言ってしまうのだった……。
そして愛車のKUOTAはというと、ひと目見ただけで「全損」の文字がよぎる状態であった。過去にフレーム修理をしたが、そんなの比ではないクラックの入り方だ。
近くの交番のおまわりさんが来て、そのあと市の交通課の到着を待ち、実況見分。
ドラレコを見たおまわりさんが笑って「ぞっとしたよ~、よく立ってるね」と言ってきたので、はねられた私の様子は派手だったようだ。
このおまわりさん、私に「橋から落ちなくてよかったね」とかも言ってくるし、私も無事なので「ですよねえwww」とか笑ってしまったのだが、こいつは軽薄ってやつではないだろうかと心配にもなる。
で、ここからがポイントである。
右側が特に死角になりやすい場所だが、あくまでも境川側に一時停止があり、私はその線をすぎたところではねられているため、私にも「一時停止無視」という過失が存在するのだ。車と生身の事故なりの過失ではあるが、ロードバイクブログでよく見る10:0と賠償金を勝ち取る知恵の記事にはならないことだけはたしかだ。
もともとここの停止線で止まったところで右側からの車が見えないという認識があったため、たしかに線をすぎたところで確認をすることが多かった。これは慣れた道に対する私の怠慢にすぎない。
さあいくぞ、と十字路に進行したところで車がブォンと来てしまったのだ。
一通りの聴取も終わり、「物損」か「人身」か、という話に。私はとりあえず、はねられた瞬間からどうあれ病院には行くと告げてあった。
警察からは「まああなたにも過失があるからね、相手の人を罰したいかどうかって話しよ」との発言が飛び出す。
私「病院には行きます。ここでは服も脱げないし確かめようもないので」
相手「病院には行ってもらった方がいいです、ぜひ行ってください」
警察「え〜と、じゃあ人身にします?」
相手「いや! ……できれば物損でお願いしたいです」
私「えっ、今決めないといけないんですか」
警察「まあ人身から物損にはできないからね。物損から人身には変えられるから、あとはあなたの感情がどうかの話よ。人身か物損かは罰の問題であって、保険金とかそのへんとはまったく別の問題だからね」
でけえ男たち複数人に囲まれ、何なら先方運転手さんも混ざって「物損にしといた方がいい」「物損でお願いしたい」と言われたことを私は忘れない。
病院に行くと最初から言っている私に「人身ですね」と言ってくれたのは近所のおまわりさんだけだった。
別に処罰感情などないし、こちらに道路上過失があると言われればもちろん私の不注意なのでその通りだ。だけれども、ケガはしてるし病院には行くし、ぎりぎりアドレナリンで行動している155cmの人間に向かって大の男たちが囲みで「物損」促しはなんなんだ。
先方運転手のいる目の前で、「いや罰したいです!!」なんて言えるわけがない。
とりあえず、ケガの程度にもよるので、ということでひとまずは「物損」として処理。人身に変えるときには、署の方に出向いてくださいという感じで警察の皆さんは去っていった。
その後、ロードサービスの手配をし、1時間ほど待っている間は運転手の方が気をつかって車内で待たせてくれた。なんなら、アイシング用の氷を買ってきてくださるなど、本当にちゃんとした方だったので救われた。
ここで私、先方ともそれぞれの保険会社に連絡を入れておく。
すると、この時点で担当保険会社が判例を用いて「過失割合はこのくらいになりそうですが、相手の過失はこれ以上ありそうだとお考えですか?」と聞いてくるのだった。
……よっぽど強い怒りがなきゃ、事故直後で「相手の過失どんなもんだと思う?」みたいなのって答えに詰まるんじゃないだろうか。
さっきの「罰したい?なら人身事故にする?」みたいなやつと同じで。受け答えはある程度できたので、タフネスな心と体だったことを救いと思うしかないが、交通事故は冷静になる時間をあまりくれないのだなと思った。
◆
事故からまる2時間以上経過。
到着したロードサービスのトラックの運転手さんのこれまたご厚意で、私もついでに自宅まで運んでもらえることになった。
めちゃくちゃ高いトラックの助手席に痛がりながら座り、ボーゼンとしながら自宅を目指す。運転手さん、カーボン素材の自転車をはじめてみたらしく、「あれ何でできてるんですか?!」と聞いてくれて、ちょっと和んだ。
たしかに、バッキャバキャのフレームからは繊維がささくれだって見えていて、これはよく知る金属の自転車とは違うんだなという感じになっていた。
事の状況を重く見た虫さんがすぐにあれこれと手を貸してくれたので、本当にありがたく助かった。本人のこと以上に心配をかけてしまい、それが申し訳なかった。
②事故当日・病院へ
担当保険会社のアドバイスによる「第三者行為による傷病届はこれから提出するので……」てな感じの魔法の言葉によって、ひとまず健康保険をつかって診察・治療を受けることができた。治療費の支払いがどうなっていくのかは、この時点では不明。
レントゲンには異常がなく、今の今わかるのは打撲、あとから出てくるものもあるから様子を見てほしいとの診断だった。
太ももの裏〜側面が真っ赤に腫れている、と思ったら時間が経つにつれどす黒い色へと変わっていった。ここに車が当たったとのお医者さんの見解。
鎮痛剤、モーラステープが処方される。
※痣の画像注意※
なんかこんな感じ。
③自己当日・夜
先方保険会社から電話連絡あり、要約すると「あなたの保険会社とこれからやりとりするからよろしくね」とだけ。
あれ、治療費とか物損の補償とかの話は???????
7年近く連れ添った相棒の全損にうまく想いを馳せることもできず、ポカーーーンとしてしまっているうちに当日は過ぎていった。