しぃさん「皆で何か、ロングライドイベントに出たい!」
彼女がそう言ってくれたのは昨年、夏頃である。泳ぎに行った大島で、今後の自転車の目標が欲しいなんて話もそれぞれとしていた。
ブルベとまでは言わないけれどロングライドイベントはいいんじゃないか、エイドもあるしサポートカーもあるし、挑戦の距離もアリなんじゃないか。
そんなわけで、参加を決めたのが「びわ湖一周ロングライド」しぃさんが過去に参加しており、オススメしてくれたイベントだ。
女性、総勢10名。メンバーはキサさん、紗芋さん、しぃさん、じぇんさん、どろさん、真嬉さん、むっちんさん、ゆたそさん、虫さん、クロ。
160kmのセンチュリーライドコースに参戦することになった。
申し込みは昨年の秋、以降練習的に興津健康ランドライドやカスイチを経て、この日を迎えたのだった。
◆
・楽しい前泊
EX予約の恩恵を受けられるようになったので、こだまグリーンで快適新幹線の旅。
今回、行き帰りは人数が多いため、新幹線や号車が被らないようにバラバラと向かう。輪行袋の積み込みのためだ。
どろさん、ゆたそさん、虫さんとまったり旅〜!!
と思ったら、偶然にも紗芋さんが自動で抑えた席が私たちの一つ前という珍事態。
デッキがめちゃくちゃ広いため、5台の自転車も問題なく置くことができた。
・いざホテルへ!
到着!米原駅だ!!
今日がビワイチ当日ならいいのに、というくらいの気持ちいい晴れ。
米原駅から、泊まりの地までは10km弱。在来線は本数が少ないので自走で向かうことにした。
走り出してすぐ琵琶湖!!でかい!!!景色として見る分にはすでに海だ。
あたたかく気持ちいいが、花粉の存在感がすごい……。
途中で記念撮影タイム。
出来上がったものは、なんというか現代アートみたいな感じであった。
さて、そんなこんなでホテル着。イベント受付、スタート地点の真隣という最強の立地「Hotel & Resorts NAGAHAMA」だ。
入り口に設置していただいたバイクラックに自転車を置き、それぞれ部屋へ。
メンバー全員の集合を待って、前日受付に向かう。
集まった後はお昼を食べに行く予定だったのだが、明日の雨予報の前に「ペダルジャージで全員で写真を撮っておこう!」となった。
お見事、10名のペダルジャージが揃う。こんな機会が与えられること、皆が自転車に乗ってくれていることには、いつも思い出しては感謝をしてしまうのだ。
その後、ホテルからは5分ほど。しぃさんオススメのお店「善光」さんへ。ここでは名物のうどんやそば、そうめんがいただける。
これが、長浜名物でもある「のっぺいうどん」、おばけのように大きなしいたけが特徴の、あんかけうどんだ。
うどんにプラス500円で、こんな見事な野菜中心の小鉢と、鯖寿司がつく。
見てほしい!!このしいたけの大きさ!だしがしみしみで、肉厚で、とろける。うまい。
すっかり満腹になったあとは、長浜駅の東口へ。
じゃん、風情が残るこの街は「黒壁スクエア」という、宿場町の建造物を活かした観光エリアだ。
ガラスを中心にした伝統工芸品と、食べ歩きが楽しめる。
「芋平」、芋きんつば屋さんだ。芋の種類も常時4種類、ねっとり甘い芋きんつばがすぐに食べられる。
ペダル好きとあっては買わないわけにはいかない「紅隼人」の金つば……。いや、ちょっと、さっきまで満腹だったのを忘れてしまう。
少し歩いてこちらはおかき屋さんの「おかき処 空」
こんな感じで1枚売りからあり、これもまた食べ歩きができる。
焼き鳥のように、串に刺したおかきも……! マヨがけのやつなんかは、おつまみにぴったりという感じだ。
ベビーカステラの専門店には、可愛らしい珍客の姿。
と、それを撮るじぇんさん。
長浜の表参道で見つけたアーティスティック?な銅像と記念の1枚。黒壁スクエア散策は、修学旅行のような楽しさがある。
散策をしているうちにすっかり夕暮れ。きれいな西日が情緒のある街並みに差し込んでいた。
観光をすっかり済ませたあとは、長浜駅前の平和堂「モンデクール長浜」で、明日のご飯を調達する。
すっかり天気が悪い方へ転んだので、100均で雨具を買い足したり、ドラッグストアでカイロを買い足したりと、てんやわんや。スーパーのおにぎりは売り切れているし、ホテルのそばのコンビニもおにぎりが売り切れていたりと、イベントの余波とも思えるちょっとした困難はあったが、何とか準備は整った。
すべてを済ませホテルへ帰ったのは19:00前である。
ここからは、ホテル自慢の大浴場&露天風呂をそこそこに楽しみ、明日のためのミーティングタイム。
一部屋に集まり、コースガイドを片手に結構真面目な時間を過ごした。虫さんの走行や装備のアドバイス、しぃさんのコース説明と、皆熱心に耳を傾けてくれる。
なるようになれ!とはいかないのが、集団かつ雨のロングライド。事前の装備が成功を分けるといっても過言ではない。
そんなわけで夜も更け、ミーティングは終了。我が部屋は3:45の起床に向けて9:00過ぎには消灯した……。
・スタート〜エイド①
さあ、起床! ホテルの前で準備を整える。
これは、むっちんさんのバースデーに皆で贈ったRUDYのアイウェア。ついにこの日、日の目を浴びることになったのだ。
すぐ隣の「豊公園」へ向かい、トイレなどを済ませてスタートの列へ。5:45からのウェーブスタートだ。
気温は意外とあたたかい。
さて、トップチューブに簡易なお品書きを貼り付けて、いざスタート。
6時前ということもあって、空はすぐに白み始めた。
山の向こうから朝日が昇ってくる。やっぱり、自転車で見る夜明けはいつも格別だ。
あっという間に明るくなる。
クロ「夜明けだよ〜〜」
ゆたそさん「ちょっとブルベみあるよね」
クロ「それな」
オーバーナイトの疑似体験。あいにくの予報にも関わらず、ブルベでもなく、友達もたくさんいるこのイベントは、私をウキウキさせていた。
いくつかあるトンネルのうちの最初のひとつ。
通り抜けると、完全なる日の出を迎えた。
よく見ると、土手に自転車に乗る私たちの影が映っている。
真嬉さん「すごい、ペダルのオープニングみたい〜!!!」
ちなみにここは、注意ポイントの「賤ヶ岳トンネル」なんと850mの全区間、押し歩きなのだ。安全に配慮した結果なので良しなのだが、まあ長い。
トンネルを抜ければもう第1エイドが待っていた。
「道の駅あぢかまの里」だ。この表現が適切かはわからないが、貯金は2時間くらい(笑)
エイドはたまたま女子トイレが壊れていて仮説。とはいえ、高級な方の仮設トイレだったし、個数も多くてよかった。
第1エイドは、おにぎりorいなり寿司、味噌汁、ししコロ(いのししコロッケ)だ。
おいしい!言われなければイノシシっぽさは感じられない。
皆で最初のエイド食を堪能し、
全区間の中で一番長い第2エイド(小さな丘越えつき)へと走り出した。
・エイド①〜エイド②
嘘のなき平坦区間をしばし走り、
しぃさんオススメフォトスポットで各々琵琶湖と記念撮影。
雲が出てきて若干空がどんよりしてきたが、まだまだ琵琶湖は綺麗に見える。
虫さん「推しのおまんじゅうやって!!!!!!!!!」
で、頑張ってみるしぃさんとクロ。
さあ、これから148kmの一周コースと160kmのセンチュリーライドコースの分岐点へ向かう。
登りの前に軽くコンビニイン!
今回のロングライドの中で、唯一峠と名のついた区間だ。これが、センチュリーライドコースにのみ追加される約10km分である。
斜度は緩く、だいたい1kmほどで終わるので、きつくはない。
名物!メタセコイアの並木道だ!!
冬ソナという懐かしき韓流ドラマの中に出てきた聖地とそっくりなので、一時期はめちゃくちゃ人が押し寄せたのだとか。
さて、第2エイドまではもう少し!
エイド間近の道は、少し単調な平坦だが、進みやすくて気持ちがいい。この日は風向きも悪くないため、順調に進む。
第2エイド、「びわ湖こどもの国」に到着だ!
ここではあたたかいお茶とカロリーメイト(フルーツ味のみ)、ごまだんご、桃の杏仁豆腐が振る舞われた。うーん……なんというか、すべて甘い物??という戸惑いがないこともない。
分岐点のコンビニで買っておいたカルパスをわしわし貪り、ちょっと走りにくい市街コースへと走り出す。次なるは第3エイドだ。
この時点で、ひざ痛、腰痛などの声が一緒に走るなかからチラホラと聞こえ始めた。
・エイド②〜エイド③
ずいぶん空がどんよりしてきたぞ、と思ったら……
はい!
きました!!雨です!!!!
この気温では濡れたらもう乾かないので、パラついた時点で速攻雨具を全身装備する。この時点で時刻は11:00頃、距離にしてちょうど半分を過ぎたあたりである。
やはり、残り半分は雨の中の装備か……。
予報にあれこれ惑わされ、皆思い思いの対策をする。テムレスモンベル勢も入れば、スニーカー向け100均シューズカバーもいる。10名で雨具を着だす光景は結構面白い。
どろさん「これで田んぼも入れるよ!」
これは湖上の鳥居、「白髭神社」だ。あいにくの天気だが、素敵な景色である。
雨がひどくなってきたので、コンビニで追加装備。テムレスを購入したり、中に一枚追加したり、惜しみなく対策する。
第2エイド~第3エイドはちょうど雨脚が強く、しかも市街区間。信号も多く車もそこそこいるので、一番速度が出ない。
イベントスタッフの指示のもと、歩道を走行する。この橋を越えたら第3エイドだ。おなかも減ってきて、この区間は結構正念場だったように思う。
見えてきた、この先が第3エイドの「ピエリ守山」だ。貯金は結構減ってきたように記憶している。
ここで渡されたのは、ペットボトルのお茶と近江牛のカレーパンひとつ……。
お、おいおい。雨の区間で道中補給もしにくくこれ。お腹が空いててつらいし、揚げ物がつらい人もいる。
エイドの横に幸いにも?売店が出ていたので、焼きそばを買って速攻むさぼる。うーん、エイドの提供が少ないうえに横に売店を出すのは、なんだかちょっとケチくさいというか、さびしい感じ。
昨年のカレーの噂を聞いていただけに、ついつい期待してしまっていた。
そして、このエイドで問題勃発。女子トイレが仮設の2つしかない。
仲間たちも、いくら待っても帰ってこない、出発目安時間までに全員トイレを済ませることはまず無理だ。次の区間を思うとこれ以上スタートが遅くなるのは心配……。
近くのコンビニに先に行って済ませておく組と、まもなく仮説トイレに入れる組とで、一度二手に別れることにした。
先発したのは、じぇんさん、クロ、ゆたそさん、真嬉さん、キサさん。後発は紗芋さん(本当は一緒にコンビニに行くはずだった)、どろさん、しぃさん、むっちんさん、虫さん。
・エイド③〜最終エイド
トイレが!!見当たらない!!!左側って聞いていたのに!!!!
あせる私たち、先頭はじぇんさん。走れども走れども左側にはどう見ても琵琶湖しかない。
クロ「もっと先かなあ……」
じぇんさん「どうする?行く?」
クロ「行こう!!!」
ここで、雨の中を踏み込み全力加速。とりあえず速くコンビニにたどり着き、連絡を入れたかった。
クロ「ついてきてる?!!」
ゆたそさん「ついて…きてるわけ!ないじゃん!!!」
このときのゆたそさんは不意のアタックを受けてめっちゃ必死こいた人の顔をしていた。
結局小さな小さな駐車場のトイレを見つけ、先発の5人揃って後発組を待機。なんとか合流することができた。
主な敗因は、コンビニが実は右側にあり、ルート案内をしてくれていた紗芋さんとスタートの時点ではぐれたことだったりするのであった……。
微妙に押しているのタイスケのまま、とりあえず全員集合。この区間が一番登り基調だったといって間違いないだろう。最終エイドに間に合うかが、勝負だった。
比較的元気な5名が先行し、きつくなってきたかなという人は後続の5名のなかに。
林道のような道とアップダウンのため、この期間は完全に2チームに分離してしまった。
前方チームのしんがりを担当し、後続のチームの様子を見に行って結局ひとり旅になったクロ……。このときは正直不安マックスだったし、雨は一向に止む気配がない。
最終エイドさえ間に合ってくれれば、時間内だろうと時間外だろうと160km走る権利はもらえる、そんなことを心配したりもした。
結局、先方チームから遅れること5分で私がエイドに入り、そこからは5分しないくらいで後続チームが入ってきた。
貯金も残っている。皆走る気力もある!!これで、完走する準備は整った。
ここのエイド食はバナナ、紙パックのポタージュ、ブラックサンダー、スポドリor水の提供だった。
・最終エイド〜ゴール
第3エイドに間に合っていれば、あとは無事に帰るだけだ。ここからはまた嘘なき平坦だ。
真嬉さんが田所さんの酸素音速肉弾丸ばりに風を受けている。
雨も弱くなってきて、走りやすい。
びわ湖と、その先に宿泊していたホテルが見えてくる。
もうまもなくだ!
ついに、公園内を走り、ゴールゲートが視界に入り……
10名揃って無事の時間内ゴール!!
びわ湖一周ロングライド、160kmコースを走り切った!
ゴール直後の元気なゆたそさんと、
すぐさまステーキを買いに行ったどろさん。
半分以上雨にもかかわらず、誰もケガせず、転ばず、全員揃って160kmを走りきれたことを素晴らしく思う。ブルベでもないのに、本当にみんなえらい。
みんなえらい、みんな頑張った、すごい。
追いついたり、離れたり、あせったり、笑ったり、……。
その地平線
誰も見たことのない景色が見たくて
俺達はひたすらペダルを回す
その場所へ運ぶ
自分の足と仲間たちを信じて!!!!!!
・おうちへ帰るまでがファンライド
大慌てでホテルのお風呂に入り、一本早い電車で帰るしぃさんとキサさんをバタバタと見送ってから、無理くり支度を整えて駅へと向かう。
結構な雨が降り続いているので、ビニール袋を履くゆたそさん。
五分くらいで長浜駅についたのでよかった。
各々支度をして、長浜から米原へ。新幹線は同じだが車両がバラバラなので、皆とはここでお別れだ!
長い長い一泊二日の、一大イベントが幕を閉じた。
◆
雨になったことで装備も増え、難易度も上がり、それでも皆楽しげに走ってくれて本当に感謝しかない。私はビワイチを走りながら、「追いついたよ!」とか「合流!!」とか言われるたびに、インハイみたいだなあと思っていた。
皆が無事で、このイベントを終えられたことを誇りに思う。あと、中禅寺湖で実質ビワイチをしてくれたあの人にも感謝!
今日もお疲れ様でした!(インハイばりの思い出をありがとう)