オーバーナイトライド。
それは、ブルベの練習の一環であったり、新しい景色と出会うためであったり、理由はさまざまだ。
最低気温は0℃という12月の深夜に、こんな珍妙な企画に乗ってやろうと集まってくれたメンバー。
真嬉さん、しぃさん、ゆたそさん、虫さん、そしてクロの5名である。
江の島を24時に出発し、伊東マリンタウンに夜明けとともにゴールする、というのが今回のプランだ。
尚、このライドコースは、Zっとさんから教えていただいたものであり、さらには「ろんぐらいだぁす!」から拝借してきたものなのだ。
◆
24時、片瀬江ノ島駅。
遅延や乗り遅れなどもろもろあったが、無事にスタートの準備が整った。
寒すぎて、ウルトラライトダウンが脱げないので、着たまま走り出すことに。
サイリウムブレスレットで準備万端な真嬉さん。
いざ、スタート!
・片瀬江ノ島駅~大磯コンビニ~小田原コンビニ
寒いし、眠くなってもいけないし、時間もたっぷりあるのでコンビニ休憩はたくさんとろうという今回のライド。
夜の道は車も少なく走りやすい。
今回のライドは、私が先頭のため、ありがたいことに自分のタラタラペースで先導させてもらった。
とりあえず、ふらりと大磯のコンビニにイン。
真嬉さん「ガチャ……回さなきゃ……これで最後にする……」
しぃさん「皆そう言うんだよ……」
ゆたそさん「課金か?」
虫さん「課金か?」
ゆるライドなので、コンビニイン中のソシャゲやツイートも欠かせない。
寒いことは寒いが、装備をきっちり整えてきたので、死にそうなほどではない。
平坦をタラタラ、雑談などしながら走る。
ラブホテルの名前が「ツーウェイ」から「セシル」に変わってしまったことを、嘆いてみたり。
ツーウェイ……リバ可っぽくて、一部の腐女子の心くすぐる名前だったのに。
普段はあまり好きではない134号も、車がいないだけで随分気持ちよく走れる。
真鶴方面へと向かう前に、もう一度小田原のコンビニで立ち止まる。冷えからか異常なまでにトイレが近いので、15~20kmに一回の休憩は、正直ありがたかった。
おでんを食べたり、厚焼きたまごを食べたり。ちょこちょこ食べて夜更かしの胃酸を対策する。
・真鶴方面アップダウン~湯河原コンビニ~網代コンビニ
ここからは、起伏がちらほら現れる。
左手に広がる海は黒々としているが、大勢でいるためか暗闇への恐怖は感じられない。
外灯がないエリアでは、星空がうっとりするほどの美しさで広がっていた。
真嬉さん「すごーい!!こっち側くるのはじめて!」
しぃさん「晴れてるとすごい海がきれいなんだよ!見せたかった~~」
途中、止まって星空を眺めてみる。
虫さん「流れ星!!」
真嬉さん「今ガチャ引いたら出るかな……???ダメだ試合中だ……!」
推しへの欲望とは凄まじいものである。
真鶴料金所の一山を越えて、湯河原の広いローソンに立ち寄る。また、各々つまみぐいをしてみたり。
真嬉さん「手塚くん……!!!!」
コンビニを出てまもなく、伊東までで一番長いと思われる、伊豆山の登り。初めてしぃさんと走ったお試しブルベ(雨でDNF)のときは、この坂を越えたあとから雨だったなあ、と思い出す。
道の感覚にも長けていて、真嬉さんに登りながら励ましやアドバイスをしているしぃさん。
ブルベに誘って、本当にブルベをはじめてくれて、頼れる素敵なお友達として、ここまでライドをともにしてくれてとてもうれしい。
がっつり登らせたあげくに熱海市街までめちゃくちゃ下らされる洗礼を受けて、またふたたびの登り。
大した勾配ではないが、逗子200を参考に、ホテルニューアカオでトンネル回避。
そして、ようやく海岸沿いの平坦となり、
ゴールの伊東マリンタウンまで12kmほどの地点でイートインのあるコンビニを発見。
この時点で5時前だったので、夜明けには早すぎるということで、大休憩をとることにした。
各々、おにぎりや味噌汁、ココアなどをとって、比較的ゆったり過ごす。
安全性の面から全員に反射ベストの着用をお願いしたが、この光景はまさしくブルベ……。
同世代の女性ランドヌーズが一堂に会したようで、これはこれでうれしい。
ここまで引っ張った真嬉さんのガチャは爆死に終わったが、時刻は五時半頃。
ほんの僅かに日の出の気配が出始めた道を、私たちは走り出した。
・夜明けの道~伊東マリンタウン
お馴染みの和菓子屋さん、間瀬(無論閉まっている)の前を通り過ぎたら、最後の登り。
宇佐美あたりの長い登りで、柵越しの海の色が変わりはじめた。
日の出だ。
うすく赤みが差してくる景色の前で、写真を撮る。
進めば進むほど、朝日の色は濃くなっていく。
気持ちよく夜道を下って、ついに海岸沿いの平坦へ。
そこには、夜明けの素晴らしい景色が広がっていた。
赤から黄金に色を変えた太陽が、海を明るく染めはじめる。
各々、その景色の美しさに足を止め、残り3kmの地点で写真を撮った。
クロ「……我慢できない。トイレ!!!」
冷えからか、この日は異常なほどにトイレが近く、すべてのコンビニで結構つらい思いをしていた。
感動的な場面だが、近くにコンビニがあった気がしたので、一足先に皆から離れ、トイレを済ませることに。
まあ、そしてコンビニなどはなかった。
ファミリーマートに見えたのは青信号だった。
結局ラストの距離を単独でトイレTTを決め、マリンタウン手前の公衆トイレに飛び込み、ゴール地点で皆を待つことになった。
75kmのオーバーナイトライド、無事に終了!!
自転車をまとめて柵にくくり、完全に昇りきる朝日を温泉で眺めるため、伊東マリンタウンのスパ棟へと向かった。
皆で見る朝日はとてもまぶしい。
・温泉と朝ごはんと、帰路のデザート
いざ、疲れを癒しに!
伊東マリンタウンの朝湯は5:00~10:00、たったの540円。タオルセットも300円前後でレンタルできるので、かなりお得だと思う。
数種の内湯と、海を眺められる外湯で、疲れを癒やした。
キラキラ輝く朝日を見ながら、ぼーっとお湯につかり……
しぃさん「ねむい」
虫さん「ねむいね……」
あとはのんびり、綺麗な女性専用休憩室で、入れ替えの時間まで仮眠タイム。
結局1時間ちょっとのお休みタイムだったが、ある程度はリフレッシュできた。
そして、朝ごはんは9:00からやっているフードコートでわいわいと!
伊東の地にちなんだ食べ物も多く、選ぶ楽しみがある。
これは、黒船ローストビーフ丼。こういう場所にしては、肉はケチらず結構がっつり盛られている。
デザートには伊東マリンタウン内のアイス屋さんで、フローズンヨーグルト。
自然なフルーツの味わいで、美味だった。
ゆたそさん「世の中がまぶしい……人が活動してる……」
ダラダラしているうちに、伊東マリンタウンは観光地の活気を取り戻し、時刻はちょうど昼時に。
真鶴にも行きたいカフェがあったのだが、真嬉さんの膝に痛みが出ていたのと、皆の眠気もあるだろうということで、網代の間瀬に寄り、そのまま輪行で帰るプランにした。
かなり長い長い登りと、交通量がっつりのトンネルもあるものの……
快晴のため、海は綺麗に見える。
そして、和菓子を食べにお店に到着!
逗子200いちご大福TTでお馴染の、菓子舗「間瀬」さん。
まったりと和菓子を楽しみ、お茶をいただく。
いつも上品で美味しい和菓子を食べさせてくれる、本当に素敵なお店だ。
2018年のいちご大福も、無時に逗子200の日には購入できるようだ。
最後はゆったりと網代駅に向かい、ゴール!
たっぷり遊んだオーバーナイトライドは終了した。
◆
夜道を走り、朝日を見る。
得るものの多い、素晴らしいライドだった。清々しくて、浄化されて、楽しかった。
とはいえ夜通し走るのはやっぱり疲れるし、寝不足は身体にあまりよくない。
楽しく友達を誘うのであれば、ゴール後でもきちんと寝られること、お風呂に入れること、なるべく早めに解散することを心がけた方がいいだろう。
それでも、何物にも追われず、ゆとりのある気持ちで見た朝焼けは、何にも代え難いくらい最高だった。
こんなに寒い季節なのに、普通のライドのように軽やかにつきあってくれた皆、ありがとう。
冬のオーバーナイトは普通はあんまりしないというのは、実は思いもしなかったのだ。
今日もお疲れ様でした!(来年は水信玄餅オーバーナイトを)