8月19日、湿度の高いくもり。
この日目指すのは、千葉県の我孫子駅にほど近い、「道の駅 しょうなん」
久し振りのブルベ参加である。
8時スタートゆえ何とか前泊しないで済んだこのブルベは、スタート地点まで電車で2時間ほどとちょっと遠い。
日頃お世話になっているSさんに強度を聞いたら、「いいから来なさい」と言われ、虫さんと参加することになったのだが……。
このブルベ、難易度は天候次第で★4
我孫子駅に降り立ったとき、くもり予報を覆しての雨模様だった。
◆
・スタート「道の駅しょうなん」
100名エントリーとのことで、受付の橋の下にはたくさんの人が。
お声掛けくださったSさんや、フレッシュぶりのYさん、たまがわ600ぶりのAさんとご挨拶。また、虫さんのブログをとても熱心に読んでくださっている某さんにも見つけていただき、スタート前の楽しいひと時を過ごした。
虫さん「おやじ来てるwwwww」
そう、これは笑わずにはいられない。
最近ツール・ド・フランスを見てロードバイクに興味を持った虫父(毎朝クロスバイクで15kmほどライドしている)が、見送りきているのだ。
こんなに面白いことがあろうか。
友人を本名で呼ぶ友人父、「ブログ見ています」と世を忍ぶ仮の名で呼んでくださる方々が一同に会し……、まさに混沌。
そうこう言っているうちに、ていねいなブリーフィングを受け、出走の番となった。
虫さんの父に動画をとられつつ、雨も止んでムシムシと気温の上がりつつある道を走り出す。
・スタート~PC1
比較的走りやすい平坦基調。
が、聞いていたほどまったいらという感じではない。
小さなアップダウンがところどころに挟まり、加えて信号が多い。
微妙に路面が悪いが、とりあえずマイペースに走る。
早起きで食事もそこそこにしかとれていないため、信号で止まるたびにセブンイレブンのカルパスをかじる。
終盤になって、私たちよりもずっと後のスタートのSさんと遭遇。お呼ばれしたのでお邪魔してはみたものの、Sさんは女性を牽いているいるらしいので、お話しもそこそこにお見送り。
PC1のセブンイレブンには、1時間ほどの貯金で到着。
バナナとゼリー、ボトルに麦茶を補給。また、登坂カロリー用に赤コーラを背中に入れることにした。
ここで、AJ千葉スタッフかつ参加者の方(たまがわ600でもお会いしている、さわやかお兄さん)から、これからのコースについて恐ろしい助言を受ける。
お兄さん「ここから、クソの極みですよ!」
100km区間に2600アップを凝縮したこのブルベ。タイムアウトの噂を聞きまくるPC1。
私たちは、「なんで来たんだろう」との思いを抑えることができなかった。
・PC1~通過チェック
「このブルベは50kmから」とかつてどなたかのブログで読んだことがあった。その言葉の通り、本格登坂は50km以降からはじまる。
①不動峠
まずは不動峠。筑波山というやつで、この辺りに住む自転車乗りに撮っては、お馴染の場所なのだろう。よく写真で見ることがある。
表は3.8kmで平均勾配が約7%……意外と登りごたえがある。実際、ここを走っていたときはめちゃくちゃ暑く、ずいぶんとしんどく感じた。
が、頂上に近づくにつれ霧の濃さが尋常じゃない。
ふたまたに分かれる不動峠の頂上も、もはやミスコースをしそうなほどのありさまだった。
お兄さん「こんなのまだまだ~、メインディッシュはきのこ山だよ」
クソの極み発言のお兄さんが軽やかに先行していく。水分補給だけして、すぐスタートした。
②風返し峠
不動峠の終点?から左に登っていくと尾根道。軽いアップダウンがある。そして風返し峠をも越えていく。
このまま少し下っていって、ここ50km区間で最後の補給ポイントとなるセイコーマートまで。
セイコーマートには立ち寄らなかったが、たくさんの参加者の方々が止まっていた。
③東筑波ユートピア
このあたりの登りの道は路面がかなり悪い。加えて、斜度もそこそこ感じられる。
草木が深く、霧も出ているため涼しいが、とにかく路面がガレている(まだ、ここでは荒れてるなー程度のレベル)
珍妙な音楽を聞きながら、あやしげな東筑波ユートピアを通り過ぎていく。
④足尾山、きのこ山、一本杉峠
標識だの看板だのが多々出てくるので、正直どれがどの山の区切りかわからない。メインディッシュのきのこ山は一体どこからどこだったのだろう。
路面で冠水し、木の枝が飛び散り、道いっぱいに泥が堆積し、悪路というか走行不可能では?!とさえ感じるレベルに。
斜度は時折厳しくなるも、終始殺しにくる感じではない。
クロ「ていうか看板にずっと石岡市って書いてあるんだけど、いつまで石岡市なんだ???」
深い山とプチヒルクラの詰め合わせで、ガーミンはキューシートとわずかにずれはじめている。加えて、あちこちに山の看板があるので、どこを走っているのかさっぱりわからない。
雨が降るなか終盤の一本杉峠を走っていると、
自分のガーミンに小枝のようなものがくっついている。
よくよく見ればそれは、茶色のシャクトリムシ。
何を思ったか、ガーミンのふちを無限に周回しはじめた。
クロ「ねえwwww私のガーミンにシャクトリムシついてるwwwwwww」
虫「まじかwwwww」
クロ「ずっとこいつとヒルクライムしてる」
山も終盤に差し掛かったとき、この虫が逃げおおせようと立ち上がり、他につかまるところを求めてうごめきはじめたので、危うく急停車。
道端の枝の上に避難させ、そのまま端っこへと逃がしてやった。
クロ「やばいシャクトリムシにめっちゃ尺取られた……」
虫「wwwwwwww」
今思えばなんてことはない出来事だが、この時は悪路と終わらない登り下りに、テンションがだいぶハイになっていたらしい。
⑤加波山峠
このあたりは道も悪けりゃ斜度もある、という感じ。
何も見えないけれど、一揃いの山々トップ、風力発電所のあたりに到達。
ここから、ようやく長めの下りに入ることになった。
が、とんでもない。ここでもまた、悪路の鉄槌を受ける。
もともと苔むして割れた路面に、長雨の影響で枝やら岩谷ら木の葉やらが降り積もっている。
時には泥が堆積し、水たまりと化してスムーズな進行を妨げるほど。
さらに、3m先は見えなくなるほどの濃霧。
これは……普通のライドだったら中止にしていたし、下手をしたら通行止めもありえるんじゃないかという有り様だった。
下りきって、しばし平坦を走る。
数キロでようやく通過チェックのミニストップ。仮想クローズの15分押しぐらいだと思う。
天気がすこぶるあやしい。
時間的にあまり余裕がないが、行けるところまで行くかとコンビニを出、3kmほど走ったあたりで雷の音がどんどん大きくなる。
辺りは、今にも降りだすという真っ暗ぶり。
暗くて重い雨雲は、今まさに向かおうとする山の上に被っている。
雨雲レーダーで警報が出ていること、これから向かう先が真っ赤になっていることを知り、ここでDNFの決意。
そもそも調べている間に雨が振り出してきた。
同タイミングでコンビニを出た男性陣と、ここでDNFの旨を会話し、一緒に先ほどのコンビニまで戻ることに。
たった3kmのうちに雨粒は大きくなり、ふたたびミニストップへ戻った頃には集中豪雨になっていた。
車で参加者の通過を待つスタッフさんにDNFの旨を伝えて、長旅に備えておやつを買い込む。
話によれば、ここまでですでに5~6人が落車をしているという。あとあと知ったが、この天気はしばらくよくなることはなく、この先の山を越えたところで、夕刻には20人以上がDNFを決断したそうだ。
コンビニの裏は、エスケープポイントの羽黒駅。水戸線というローカルなこちらの電車、1時間に一本程度しか運行がない。
一緒にDNFした参会者の方は輪行袋の用意がなかったので、コンビニで袋を買い、創意工夫できちんと自転車のすべてを包み込み、輪行の形体を整えていた。
ざぶざぶ降りしきる雨と雷の音を聞きながら、ここで私たちの挑戦は終了した。
ここから、地元までは3時間半……。
・まとめ
夏のため、雨自体はそこまで苦痛ではなかったが、山にかぶるカミナリ雲はちょっと危ないな……ということで、自分なりには良い判断だったと思う。
通過チェックの時点で少し時間が押していたが、前情報で、ここで間に合わせていないと巻き返しは厳しいと聞いていたし、少しでも時間を稼げるような下りではなかったので、早々に止めてよかったのかもしれない。
路面としては、これまで走ってきたすべてのブルベ&ライドのなかで、史上最悪。
虫さんとともに、落車せずに終われて本当によかった。パンクしなかったことも幸いだった。
まったく知らない道だったので、コースと標高図を見てはいったものの、ここまでの難しさとは想定していなかった。つくば山周辺のギザギザはすごいものである。
その後、帰り道では集中豪雨が規定量を越えて襲いかかり、ようやく乗った馴染みの電車は、通常の半分以下の速度で走ることになった。
DNF後、最寄駅までの電車旅は、ぴったり4時間。これはこれで、いい経験になった。
今日もお疲れ様でした!(実はSさんのお土産が山で救ってくれた)