さて、そろそろこのブログの「はじめに」を読んだ記憶が遠い昔のこととなっている方もいるとは思うのだが、そこに記載したように、このブログの写真のほとんどは虫さんの提供となっている。
この渋峠編の後編、私たちは登り始めて早々にばらけてしまったため、ほとんどの景色は虫さんから見たゆたそさんの記念写真でお届けしたい。
女4人でキャッキャと観光に行ったにも関わらず、じぇんさんと私はほぼ20kmソロライドになってしまった。
この草木の丈がどんどん低くなって行くのだな……というときめきとともに進み、ひとまず天狗山レストハウスで待っていてくれたじぇんさんと合流。
虫さんとゆたそさんを待つ。
じぇんさん「いや〜テンション上がっちゃってさ」
こうして、彼女はいつも登りで幻想の背中となってしまうのである。ほどなくして2人が到着し、再び走り出す。
が、どうやら、ものの数分で解散してしまったらしい。(証拠写真)
つづら折りの道は眼下に見え、少し離れて走ると、こんな感じで虫さんたちの姿が上から見渡せた。
高原らしいルートに入り、感動のピークはこの辺りでやってくる。
動くロープウェイを横目に見ながら、
「こんな高さまで登ってくる自転車を、もし私があのロープウェイの中から見たら……きっと頭がおかしいと思っただろうなあ」
頭がおかしい、と思いながら、なんとなく熱いものがこみ上げてくる。
1年前の5月2日に初めてヤビツ峠を登り、死にそうになっていた人間が、わずか1年で国道最高地点を目指している。
よく頑張ったなあ、KUOTA……とボロボロになりつつある愛車のハンドルを叩いた。
ちなみに、1年前の初ヤビツライドは、じぇんさんとの初ライドでもあった。これまで街乗りウェアとスカートに身を包んでいた私は、上下ショップのウェアでやってきたじぇんさんが最高にクールに見えたのだ。
これまで最長80kmしか走ったことがなかったにも関わらず、なぜか江ノ島発で東名高速沿いのクソ起伏を越え、ヤビツ峠を死ぬ気で登り、腹ペコのまま鬼みたいな起伏の国道を引き回されて、ブルベの方御用達のハンバーグを食べて、初めて110kmを走破した思い出深い日なのである。
今振り返っても、頭のおかしさは計り知れない。
その日を境に、坂……坂……とうわ言のように繰り返すようになり、2日後に虫さんをつれてまたヤビツ峠にいった。
まったくもって人生わからんものだなと思いつつ、向かい風に歯を食いしばりながら、どんどんと道を進んでいく。
途中で野生のカモシカに出会ったり…
空の青さに飛び上がったり……
坂に対する怒りの第2段階を迎え、無言になりつつあるゆたそさんではあったが、絶景の前では最高の被写体になる。
多分同じ景色を見ながら、私もすごい、寒い、高い、脚が痛い、とか思っていたのだろう。
なお、絶景ポイントのカーブは、大体10%ほどの勾配だった。
登ってきた道は、果てしない。
噂の雪壁もあったようだが、あまりの低さに私とじぇんさんはスルーしてしまった。これは、来シーズンのお楽しみということにしておこう。
私とじぇんさんの名誉のために言っておくと、山頂まで残り3分の1を切ろうかという見晴らしのいい駐車場で、しばらく後続のふたりを待っていたのだ。
だが、あまりにも寒く、身体がガチガチに。
わざわざつれてきた弱虫ペダルのマスコットとともに写真など撮ってみるも、とにかくじっとしていられないほどなので、山頂で合流すればいいか……と登坂を再開した。
美しいものの景色もほぼ同じのため、脚の疲労が勝ってくる。
景色がよくても乳酸は流れねーぞとさすがに半ギレになってきた。
ついには、尾根の開けたところで反対車線に風で飛ばされてしまい、腹の底から絶叫。
これには、見える範囲にいたじぇんさんも、さすがに振り向いてくれた。
谷底に吹き飛ばされそうになりながら、私は自分が高所恐怖症であることを思い出す。
なんていうか、
こわい。
死を覚悟しながら進んでいくと、ようやく国道最高地点に到達!観光客であふれているなか、やさしいローディーさんに写真を撮ってもらう。
ここでも寒すぎるため、感動もほどほどに、ついに虫さんたちへラインを送った。
「今国道最高地点です。寒すぎるので渋峠ホテルで待ってます」
ここからは、渋峠ホテルまでは下り基調の700mだ。
ホテルのロビーで暖をとりながら、4人揃ったらパンを食べようね……とひもじい子供のようにじぇんさんと身を寄せ合う。売り切れると嫌だから、とじぇんさんの手元にはすでに確保したパンがひとつ。
虫さん・ゆたそさん「ついた!!!!!」
15時すぎ、ついに4人合流。あまりの寒さにガタガタ震えながら、ホテルのカフェでパンを食べ、ホットミルクやコーヒーで各々体温を上げる。
国道最高地点の到達証明書を受け取り、ようやく達成感が湧いてきた。
これが噂の渋峠ホテルと、かわいいインディーくんとマーカスくん。時間も時間のためか、お疲れのご様子。
下りに備えて着替えや装備を済ませ、16:00頃ホテルを出る。
もちろん、国道最高地点まで背負ってきた「アレ」での、記念撮影は欠かせない。
17:50発の電車に乗るために、せめて17:30までには駅に着きたい。加えて、高原道路のゲートの閉門時間まで1時間を切っている。
まさかの渋峠下りTT!!!登りが2ヶ所だけあるが、じぇんさんが威勢よくぶっちぎっていくくらいのもので、特別大変なものではない。
あんなに登るのに時間がかかったのに、見通しが良く斜度もきつすぎない下りのためか、一瞬で駅に着いた。
記念写真を撮る余裕もあって、この通り!!!
帰りも4時間ほどかけて、酒を飲みながらあーでもないこーでもないと、やはり修学旅行気分を味わう私たち。
クロ「絶景で物理の疲れがとれるのは……ジョークだったのか……」
そっとツイッターの画面を閉じる。
今日もお疲れ様でした!!(クソ脚に精神論は効かない)